『悪終い箱 其ノ伍 恨み憎しみセデーション』
2025.11.15
2025.12.01

十二月に入りましたね。
慌ただしい師走の旅行や帰省に付き物なのが、お土産。
令和の現代ではコロナ禍の影響もあり、昔ほど頭を悩ませるものではなくなりつつありますが、渡す渡される機会は皆無ではないでしょう。
お土産の起源は、江戸時代の伊勢参りにおいて、村の代表者が代わりに参拝した人々から集めたお金で神札などのお土産を配ったことが始まりとされています。
これは、神事の後に「直会(なおらい)」、お供え物の神饌(しんせん)を神職者と参列者で分かち合うという儀式から派生し、その場にいなかった人々のために「宮笥(みやけ)」という神社のお札やお供え物を入れる容器を持ち帰ったのが「みやげ」となったという説もあります。
現代では旅の意味合いが激変し、お土産も同じくお礼や義理、話題のひとつとしてライトなものになりました。
オシャレなものも増えましたが、誰しも趣味に合わない、もらっても困るお土産『いやげもの』を渡され悩んだ経験が少なからずあるのではないでしょうか。
ひと昔前のいやげもの代表は
・ダサいキーホルダー
・木彫りの熊/こけし
・ペナント
です。
若い世代のみなさんは『?』となるラインナップですね。
ペナントと聞いてあの扱いに困る三角旗が思い浮かんだみなさんは朱美と握手いたしましょう。
しかし、このペナントですら、有効に使える方法があるのです。
今はあまりお目にかからない『ペナント』ですが、元は中世ヨーロッパの騎士が槍の先に付けた旗「ペノン」と、軍艦旗「ペンダント」が語源とされています。
また、山岳登頂記念や団体スポーツ戦での優勝旗の意があり、三角形による身体・心・魂の調和や、過去・現在・未来の流れ、三位一体を象徴することから、お部屋の気の流れを整える浄化アイテムとして使えます。
分類としてはタペストリーになるペナントですが、そもそも旗なのだから、振っちゃいましょう。
インテリアとしてイマイチでも、ライブ会場にいるテンションでぶん回して邪気祓いするにはもってこいです。
令和の今、消え物以外の無難なお土産といえば布物、ハンカチの類いでしょうか。
ハンカチ・タオル・手ぬぐいなどの贈り物としての一般的な意味は置いておいて、お浄めのお道具として用いることができます。
古代の文献には手ぬぐいを指す「たのごひ(太乃己比)」という言葉が見られ、これは「手」を「拭う(のごひ)」という意味です。
この時代から、神聖なものに触れる前や儀式の際に、身体の一部や道具を清めるために使われていたと考えられます。
昭和感満載の和柄大判レースハンカチ、かさばるフェイラー風タオルハンカチ、洗濯に気を使う染め物手ぬぐい──引き出しの奥で眠りがちなこれらを、簡単かつ強力な浄化術の媒体として『アイロン掛け』しちゃいましょう。
本来のシワ伸ばしだけでなく、熱と蒸気で身に纏う停滞・拗れを整える効果が抜群の『アイロン掛け』は紙幣のお清めにも用いられます。
アイロン?めんどくさいよ〜
という方、もっと簡単な方法があります。
サステナブルな風潮に反しますが
【使い捨てにする】
という禁断の浄化法が──。
燃えるゴミに出すもよし、左義長でお焚き上げするもよし。
※各自治体・各神社のルールに従ってください※
とある地方の神社で厄落としにわざと普段身に着けている物を落としていくという風習がありますが、これはあくまで歴史的文化的な背景がある場合に限られます。
いつでもどこでも有効な方法ではありませんので、ご注意くださいね。
混雑している場所へ行って人にぶつかり『悪い気』を移すという行為をあたかも厄落としとして有効な手段だと流布されていたこともありましたが、当たり前に危険行為です。
物理的にも危ないですし、それをヤるとヤられる経路が開いてしまうことまでは知らしめられていないので蛇足ながら記しておきます。
浄化・厄祓いは用法用量を守り、清く正しくご安全にいたしましょう。
朱美 拝
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